福田平八郎作『筍』の掛け軸買取を実施中!【SATEeee掛け軸買取】へ

1.福田平八郎作『筍』を売りたいお客様へ

福田平八郎は早くからモダンな装飾的感覚をあらわした、大正・昭和期に活躍した日本画家です。その理知的な構図とモチーフは、観る者に新たな美の視点を示したといえましょう。昭和22年第3回日展に出品した『筍』は、平八郎の画業の指標ともなる代表作です。平八郎は自らの芸術を「自然の本質的な美を装飾的な方法で高度に生かした絵」と解説していますが、この画も自然の深い生命を表現したものとなっています。

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2.福田平八郎作『筍』についての解説

福田平八郎は戦時下の約3年間、京都周辺の竹薮を毎日のように歩き回り、写生を続けました。『筍』はこの時の膨大な写生をもとに描かれた作品です。「黒漆のようなあの真黒な黒光りのした筍が何だか頭にこびりついていたので、竹を描かずにただ2本の筍だけを描いてみました。何となく淋しいので竹の葉を添えてみました。その落葉も何となく線描きにしてみたのでした。要するに私は地殻を破って生え出た力強い筍の姿を描きたかったのでした。」とのちに平八郎は語っています。

3.福田平八郎作『筍』の作品の特徴について

福田平八郎の『筍』は、画面全体に白描で描かれている落葉の中に、黒い皮で覆われた2本の長い筍を平行に配した作品です。皮は一定のリズムで巻かれ、皮の先の緑がアクセントとなっています。生命の力強さを感じさせるとともに、画面構成の美しさを示した作品となっています。昭和56年には「近代美術シリーズ」第10集として、60円切手に使用されました。

4.福田平八郎作『筍』の買取相場価格について

福田平八郎は『筍』の画題で複数の作品を制作しており、東京都の山種美術館のほか愛知県のメナード美術館にも収蔵されています。『筍』は季節の掛物としても重宝される画題だけに人気が高く、真作であれば高額の取引になると思われます。オークションでの作品の落札例をあげると、同名の『筍』が135万円で落札された例がありました。落札予想100万円~200万円とされた縦36.29cm×横48.2cmの紙本彩色の額装作品で、この作品は右下に落款・印があり、東京美術倶楽部鑑定委員会の鑑定証書が付けられた作品でした。

5.福田平八郎作『筍』についてのまとめ

福田平八郎は『筍』をはじめ、ひっそりとした自然の足元を、深く温かいまなざしをもって描き続けました。その本質をとらえる確かさにより、従来の日本画が持っていた非現実性・抽象性を、実感性へと導き、日本画の新しい可能性を拓くに至ったのです。しかしこの境地の芸術を継ぐ者は未だなく、平八郎芸術は無二の個性として高い評価を得続けています。もし、福田平八郎の作品をお持ちでしたら、ぜひ一度専門家の査定を受けてみることをお勧めいたします。