菱川師宣作『見返り美人図』の掛け軸買取を実施中!【SATEeee掛け軸買取】へ

1.菱川師宣作『見返り美人図』を売りたいお客様へ

一人立ち美人図として日本で最も有名な『見返り美人図』は、江戸前期の絵師・菱川師宣によって描かれた肉筆の浮世絵です。この画はほかにも『紅地櫻菊花模様鹿子絞美人図』『婦女図』『半面美人図』など様々に呼ばれていましたが、近代に入ってからは『見返り美人』の名で通っています。昭和23年、戦後の記念切手第一号として5円切手の図柄となったことで一躍有名になりました。

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2.菱川師宣作『見返り美人図』についての解説

無背景に一人を描くという類型的な形式は既に「寛文美人図」として存在していました。浮世絵の祖とされる菱川師宣との関係は判然としないものの、表現方法は浮世絵の手法につながっていったと思われます。『見返り美人図』で描かれたのは、歩む途中にふと振り返った粋な女性。そのいでたちは頭の先からつま先まで、当時最先端のファッションが取り入れられたものとなっています。師宣の美人画は江戸の理想の美人とされました。特に見る者を強く引きつける本作『見返り美人図』は、師宣の代表作とされています。

3.菱川師宣作『見返り美人図』の作品の特徴について

正面に背を向け、右肩側から後ろを振り返った姿が新鮮な『見返り美人図』は、花の地文を織りだした鮮やかな緋色の綸子生地に、桜と菊の「花丸」模様が刺繍された着物を身に着けています。桜の花丸は、中央に金糸による大型の桜を置き、周囲には浅葱と白の糸で小柄な桜が配された柄になっています。一方菊の花丸は、中央を鹿の子絞りで埋め、周囲は金糸縫いによる菊花がめぐらされています。この模様は、当時流行した友禅模様と同じ花の丸模様で、背中・袖・足と三段に配置されています。帯は「吉弥結び」になっていますが、これは延宝年間に大人気であった女形・初代上村吉弥の考案による結び方で、後ろで片結びになっています。髪は背に垂らした端を折り返して輪に結ぶ「玉結び」で、これも元禄ころに流行した髪型でした。振り返った女性の顔は横顔しか見えません。右から左へ歩いている途中で袖がひらりと揺れる様子が表わされています。サイズは縦63.0×横31.2cmで、画面右下に「房陽菱川友竹筆」の署名と、「菱河」(白方瓢形印)の印章があります。

4.菱川師宣作『見返り美人図』の買取相場価格について

菱川師宣の時代はまだ木版画錦絵が開発される以前なので、『見返り美人図』は当然肉筆です。肉筆画は一点ものであるだけに菱川師宣のように画名の高い絵師の作品は、市場でも高額で取引されています。ネットオークションでは、本紙が縦約37cmの作品で、266,000円の値で落札されていました。絹本着色の軸装で、画題は『桜人物』、サイズは掛軸全体が縦約158cm×横40.5㎝、本紙は縦約78cm×横32㎝、状態は「絹本に切れがありますが、時代が古いので、ある程度はしかたないことでしょう。(許容範囲に入っていると思われます。)」と説明されていました。

5.菱川師宣作『見返り美人図』についてのまとめ

『見返り美人図』という名作を世に送り出した菱川師宣は「菱川ようの吾妻おもかげ(意味:師宣の描く美女こそ江戸の女だ)」(服部嵐雪)と、世にうたわれました。『見返り美人図』は現在東京国立博物館に収蔵されていますが、師宣は肉筆浮世絵と墨摺絵の両分野において多くの作品を遺しています。状態が良い真作であれば、高額査定も期待できるでしょう。もし作品をお持ちでしたら、ぜひ一度査定に出してみてはいかがでしょうか。