橋本関雪作『玄猿』の掛け軸買取を実施中!【SATEeee掛け軸買取】へ

1.橋本関雪作『玄猿』を売りたいお客様へ

橋本関雪は、四条派の写実を基礎としながら風景・人物・花鳥でも独自の画風をもつ作域の広い作家として知られました。旧明石藩儒の長男として家学を学んだ素養を持つだけに、中国や日本の古典に取材した作品も多く描いていますが、特に猿の画は別格とされています。関雪が動物画を多く手掛けるのは昭和期に入ってからでしたが、昭和8年第14回帝展に出品された『玄猿』が各方面からの絶賛を受けただけでなく、昭和天皇からお褒めを受け、文部省買上げとなりました。このことから、関雪はゆるぎない名声を得、「猿の関雪」と呼ばれました。

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2.橋本関雪作『玄猿』についての解説

玄猿とは顔の黒いテナガザルのことです。『玄猿』を描くにあたって、関雪は東南アジア・バンドンの動物園を訪れて細かく写生したそうですがそれに満足せず、玄猿と白猿を手に入れて自邸「白沙村荘」で飼育し、つぶさに観察しながらこの作品を完成させたそうです。『玄猿』以降、「大観なら富士、関雪なら猿」と言われるまでになりますが、関雪は陛下のお買上げということで『玄猿』を封印したそうです。しかしその後も絶え間なく猿の画を請う人が訪れ、関雪を困らせました。

3.橋本関雪作『玄猿』の作品の特徴について

玄猿とは東アジアに生息するクロテナガザルと呼ばれる猿で、顔が黒く手が長いことが特徴とされています。関雪の『玄猿』には、二匹の「玄猿」が配されています。画面右上から左下へ伸びるごつごつした針葉樹の幹に身を置き、手前の猿が左手で細い枝を持ち、右手は画面左側に伸ばして何かを掴もうとしている様子です。後ろの猿はゆったりリラックスして、体を幹に任せて横になっています。猿の体の線はしっかりとした輪郭線を描かず、ぼかした墨の濃淡だけで猿の毛並みの質感が表現されています。背景も簡略化され、余白をたっぷりととったやわらかな雰囲気の作品です。

4.橋本関雪作『玄猿』の買取相場価格について

橋本関雪の『玄猿』は、文部省の買上げとなり、現在は東京芸術大学美術館に収蔵されています。関雪の動物画、特に猿を描いた作品は円熟期を迎えた昭和時代に描かれたものが多く、市場でも非常に人気が高いものとなっています。オークションでの落札例をあげると、作品名『玄猿』が落札予想4,000万円~5,500万円とされた縦78cm×横87.2cmの絹本彩色の軸装作品が、4,000万円で落札されています。この作品は右下に落款・印があり、東京美術倶楽部鑑定委員会の鑑定証書が付けられた作品でした。

5.橋本関雪作『玄猿』についてのまとめ

『玄猿』とあわせてニューヨーク万国博覧会に出品された白毛のニホンザル『霜猿』、桜とともに描かれる赤毛のニホンザル、これらは関雪の「三猿」と呼ばれ、関雪の動物画の中でも一段と評価の高いものとされ、コレクターにとって垂涎の的となっています。橋本関雪の作品をお持ちでしたら、ぜひ専門家の査定を受けてみることをお勧めいたします。