鏑木清方作『築地明石町』の掛け軸買取を実施中!【SATEeee掛け軸買取】へ

1.鏑木清方作『築地明石町』を売りたいお客様へ

鏑木清方は江戸情緒の香りを残す、明治の市井とその粋を描きつくした画家でした。1927年(昭和2年)第8回帝展に出品した『築地明石町』は傑作と誉れ高い作品で、この作品において清方は現代絵画としての美人画を切り拓いたとされています。この作品は翌年に帝国美術院賞を受賞し、清方は名実ともに日本を代表する画家の一人に押し上げられました。

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2.鏑木清方作『築地明石町』についての解説

『築地明石町』は長く「幻の名作」とされていました。それは美術史に残る近代日本画の名作でありながら、清方没後1975年以来 44 年の長きにわたり所在不明となっていたからです。この作品を東京国立近代美術館では長く捜索を続け、2019年ついに発見。個人所蔵者から画商を通じて購入し、収蔵にいたりました。また『築地明石町』は、もともと『新富町』『浜町河岸』とあわせて三部作として構想された作品であったため、同館はこれも同時に購入。3作品あわせての購入金額は5億4000万円であったと発表されています。本作は「失われゆく明治の情景」を制作のテーマに加えた、清方の画業後半のスタートラインに位置する作品とされています。

3.鏑木清方作『築地明石町』の作品の特徴について

『築地明石町』は画面いっぱいに女性の一人立ち姿を描いた作品です。単衣の小紋の着物の上に黒い羽織姿の女性が、朝冷えに袖を前にかき合わせ、ふと右肩側に柔らかく振り返る様子が描かれています。あたりは朝霧が立ちこんで白く霞み、背景左上には遠く入江に停泊した帆船のマストがかすかに見えます。背景右下の足元には、水色のペンキで塗られた木柵に絡んだ朝顔が淡い色彩で描かれています。女性の髪形は明治後期に流行した「イギリス巻」と呼ばれる髪型で、いかにも明治の築地らしい異国情緒がただよっています。伝統的な見返り美人図のポーズを踏まえながらも、さわやかな季節感と清らかで気品のある立ち姿を描き、「古きよき明治」への追憶にあふれた、清方ならではの近代的な女性美が表現されています。

4.鏑木清方作『築地明石町』の買取相場価格について

鏑木清方の『築地明石町』は2019年に44年ぶりに所在が判明し、現在は東京国立近代美術館に収蔵されています。オークションでの落札例を挙げると『大川の虹』という作品が1,300万円の値で取引されていました。この作品は絹本彩色の軸装で、縦63.4cm×横87.3cm、昭和27年作、右下に落款と印、共箱付、鏑木清方回顧展出品(1954 神奈川県立美術館)、『鏑木清方画集』に収録されたもので、オークション主催者側では1,500万~2,200万円の落札予想がされた作品でした。

5.鏑木清方作『築地明石町』についてのまとめ

鏑木清方の画に描かれたのは絵空事の芸術ではなく、実在した暮らしであり、風情であり、情緒でした。批評家・河北倫明氏は清方の画を「粋な姿の文人画」と評したそうです。清方は上村松園と並び称され、非常に高い評価を得ている作家の一人です。もし作品をお持ちでしたら、ぜひ一度査定に出してみられてはいかがでしょうか。