摺物絵の掛け軸買取を実施中!【SATEeee掛け軸買取】へ

1.摺物絵(すりものえ)作品を売りたいお客様へ

摺物絵とは暦、狂歌、俳諧などに絵を加えて板刻した一枚摺りのものを指します。摺物絵は新年の挨拶や祝い事など様々な目的で制作されたのが特徴です。鈴木春信を筆頭に、鳥文斎栄之、窪俊満、葛飾北斎などといった有名絵師もこぞって手掛けました。骨董価値の高い作品の特徴や歴史を交えながら、摺物絵の査定のポイントについてまとめました。

このページの目次

2.摺物絵についての解説

狂歌師が浮世絵師に絵をかかせ、自作の狂歌を添えて新年の挨拶に配る歳旦摺物が摺物絵の代表的な用いられ方です。その他、浄瑠璃や長唄、歌舞伎の襲名、追善披露など何らかのお祝いなど様々な目的で制作されました。このように個人的な贈り物であったり店の宣伝用にしたりするものであって、摺物絵は一般向けに販売されたものではありませんでした。

3.摺物絵についての歴史

摺物絵の起源は宝暦10年(1760年)頃で、その後、天保の中頃まで約100年ほど人気が続きました。摺物絵に描く絵柄はその時代の有名な浮世絵師に頼むことが多く、絵師の中には魚屋北渓や葵岡渓栖など北渓の門人などのように摺物絵を本業にする人も出てきました。絵の題材としては歴史画、美人画、武者絵、風景画、花鳥画、自然、静物、歌舞伎役者絵などが多く描かれています。

4.摺物絵作品の特徴について

版画の一種である摺物絵は絵双紙屋などで販売されるものではなく、仲間同士に配るものでした。営利目的ではなく純粋に風雅を楽しむためのものであったことから、技巧を随所に凝らしており、紙も上質の奉書紙を使用しています。金銀をあしらった贅沢なものも少なくなく金銭に糸目を付けることがなかったことが摺物絵の特徴です。当代屈指の浮世絵師に絵柄を頼み、腕利きの職人が最高級の和紙と顔料を使用して制作した摺物絵は骨董価値があり現代でも需要は高いと言えます。

5.摺物絵作品の買取査定ポイント

摺物絵は贈答品として用いられたことから画題には縁起物や上品な静物、古典を元にしたものなど雅趣のあるものが好まれました。色合いも派手さを抑え、品よく調和の取れたものが多く見られます。作家によって作品の価値は異なり、真作であるかどうかも大きなポイントです。また保存状態は良いか、制作された年代やタイトルがはっきり分かっているかなども作品の査定ポイントにあてはまります。

代表的な査定ポイント
  • 購入時期や金額、入手経路がわかっているか
  • 付属品が揃っているか
  • 保存状態は良好であるか(破損・汚損が目立っていないか)
  • 真作であるか(有名作品の偽物や贋作が多く出回っています)
  • 作家の署名・落款(らっかん)があるか
  • 表装の種類
  • 掛け軸のサイズ(高さ、横幅をご確認ください)

6.代表的な摺物絵作家の買取相場価格について

趣味人が好んだ摺物絵には縁起物をはじめ様々な意味を持ったモチーフが描かれています。画題や保存状態などによって摺物絵の価格帯は幅広く、数千円のものから数億円のものまで存在します。また、制作年の古い作品ほど、保存が難しく現存する作品は希少価値が高くなる傾向にあります。また作家が著名な人気作家であればより高額な査定が期待できるでしょう。

鈴木 春信 作 『行末を』

鈴木春信は江戸時代中期の浮世絵師で、美人画や春画の印象が強いですが、狂歌を添えた摺物絵も残しています。鈴木春信の『行末を』という作品は、オークションにて135万円で取引されました。もともとオークションでの落札予想価格は80万円~100万円でしたが、落札予想価格を50万円も上回る額で落札されました。サイズは28.4cm×20.9cmで軸装作品ではありませんでしたが、著名な人気作家ということもあり高値がついたと考えられます。鈴木春信の摺物絵はオークションでも数作出品されており、落札額が100万円を超えることも珍しくありません。

窪 俊満 作 『月下杜鵑圖』

江戸時代に浮世絵師、戯作者、歌人として活躍した、窪俊満。穏やかで清楚な美人画で知られるものの、オークションでの出品作品は少なく市場価値が高いです。『月下杜鵑圖』と名付けられた摺物絵がオークションで取引された際には、10万円の価格で落札されました。軸寸は不明ですが本紙は88.6cm×31.3cmで軸装されています。窪俊満の作品は、十数万円から70万円前後の落札事例が多く、真作保証されたものであれば100万円以上の価格で落札されることもあります。

鳥文斎 栄之 作 『島台と慰斗 太田蜀山人讃』

鳥文斎栄之は、江戸時代後期の浮世絵師、旗本です。浮世絵では渋い色のみを用い、それでいて暖かみを感じさせる独特の雅趣のある表現を好んでいました。数多くの摺物絵を残しており、10~30万円くらいの落札事例が多い印象です。『島台と慰斗 太田蜀山人讃』という作品は本紙117.4cm×48.3cm、軸寸不明で10万円で落札されています。

7.摺物絵作品の買取についてのまとめ

摺物絵は、文化・文政の頃に流行しました。摺物絵の取引相場価格は描かれた主題、また制作された年代によって大きく変動します。摺物絵は非常に手を掛けて作られた贅沢品であるため、査定額も期待ができるでしょう。贋作が多いことから確実に真作証明ができること、また有名作家のもの、保存状態の良いものであれば高額査定の可能性がさらに高まります。

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